アンケート結果からは心の問題カウンセリングの機会や当事者による情報交換の場、研修・学習の機会などを望む声は、中途養育の形態による違いは見受けられませんでした。
しかし、各形態によって望まれているそれら支援策は、おそらくは同じものではありません。
ステップファミリーが持つ困難要因が多いことは判りました。
しかし、それぞれのステップファミリーの困難の傾向が同一でないとすれば、支援も個別対応ということになり、現状の家庭支援の体制にどのように組み込むかは非常に重要な課題であると思います。
「ピアカウンセリング」を望む声が多かったように、実際のカウンセリングの機会において当事者に寄り添いきれなかったカウンセラーの存在があったと推測されます。
その意味においては、中途養育者を理解したカウンセラーの育成が早急の課題であるでしょうし、中途養育を経験している当事者から支援者が輩出される機会を作っていくべきでしょう。
下岸(2010)は、「ステップファミリーは家族関係の難しい家族であるため、家族が崩壊する危険性、虐待等の危険性もある。少しでもお互いに交流することができ、いつでも相談できる環境をつくり、孤立することがなくなれば、家族内のストレスは軽減し、家族関係が改善され、最悪の状態を防ぐことができる」としています。そのためにも「社会への周知と理解、個々のステップファミリーのエンパワメントが必用」といいます。
中途養育に対する社会への周知と理解について、著者は今回の質問紙による調査を様々な方面へ依頼した際、中途養育未経験者からの回答を集めることが難しかったことから、「地域的理解の難しさ」を痛感しました。
勿論、貴重な意見を回答してくれた未経験者の方も多かったのですが、実子でない子を育てた経験がある人が66%に及ぶ程、中途養育者の人口比率は高くはありません。その意味からはもっと未経験者の回答が多く集まって然るべきでしたが「自分には関係がない」、「判らないので答えられない」という意見が、回答を拒否した人の意見を代表していたように感じられました。
「関係ない」という認識は一概に利己的な拒絶という訳ではなく、親族やステップファミリーなどの中途養育者が、職業的養育者と違って「普通の家庭」と同じ養育生活をしている中で、「非定型家族- Atypical Family – 」という烙印を押されることを望まないことと関係しているように、著者は思いました。
中途養育経験者が自らの立ち位置を積極的に開示しないことと、それを察して未経験者がなるべくその話には触れないように気を遣うことが、子育て支援の常識論から中途養育者の困難を外してしまうのではないでしょうか。
社会への理解の妨げとなっているのは「タブーとしての家族形態意識」を中途養育者自身が持っていることにも起因すると思われますし、未経験者もその「思い遣り」の気持ちから、本心をさらけ出すことを控えていると思われるのです。
逆に考えれば、本心は「血の繋がらない子育て」に対するネガティブな思いを、多くの未経験者も内に秘めているということではないでしょうか。
いずれにしても、社会への周知と理解はセットで行われなければ進まないし、それを中途養育未経験者が多数を占める社会に「察して欲しい」とするのはやはり無理があるのかもしれません。
そのためにも孤立しがちな中途養育者自身のエンパワーメントが先ず、必要とされるのではないでしょうか。
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