この項目はアンケートの問10に該当します。これも「(実子、実子でないに関わらず)あなたが今、子育てにおいて気になる項目」と同じく、前の中途養育者の困難はどのようなことから起こるかの項目を、より具体的に抽出する意味で作りましたが、これは「家族の協力関係について」の問となっています。
先ず、「家族の協力」という漠然とした問は、ステップファミリーと児童養護施設職員では、「意味の違う言葉」として認識されている点に注意してください。
ステップファミリーにとっての家族とは、おそらくは同居しているパートナー及びその親族を含んでいると思われます。
それに対し、児童養護施設職員(職業的養育群)は、ほぼ「子どもの実親」を意識して答えていると思われます。
児童養護施設職員の養育には、殆ど「自分の家族が参加していない」ので、必然的に、殆どの項目が「該当なし」となっています。
元々「家族的養育」者ではないため、当然と言えば当然の結果です。
ステップファミリーは「以前の養育者」項目以外は未経験者を上回っています。※1
各項目を簡単に説明します。
●パートナーが子育てに理解を示さない
この項目は未経験者及びステップファミリーには当てはまりますが、職業的養育群には該当しない項目と思われます。
●パートナーが実親としての役割を強要する
この項目は、ステップファミリー以外には該当しないと思われます。
●(子育てに関っていない)実親の存在が心にひっかかる
これは職業的養育群およびステップファミリーに該当しますが、未経験者には該当しないと思われます。
●子どもが以前の養育者の言うことを優先する
これは上の(実親の存在)と何が違うのかというと、中途で養育者が交代している子の場合、以前の養育者は実親とは限りません。シングルファーザー等ひとり親が離婚後、子どもを乳児院や児童養護施設、あるいは祖母など親族に預けているケースなどはありえるので、「実親ではないけど以前の養育が気になる」ケースもあるかと思って追加した項目です。ここではちょっと質問内容が判り難かったかもしれません。
●家の中に自分の居場所がない
ステップファミリー、初婚の継母さんなど、以前の養育者(祖父母など)と同居することになった場合、居場所がないと感じるようです。しかしこれは未経験者でも感じる場合もあると思います。職業的養育の場合、先ず、養育の場が「家」ではないので、「該当しない」と思われます。
家族・親族が養育の協力をしてくれない
ここで職業的養育の方も僅かながらチェックが入っているのは、おそらく「元の養育者が、協力的でない」という意味になろうかと思います。
家族・親族と養育に関する考えかたが合わない
これもおそらく上の項目と同じですが、この項目がステップファミリーで倍増するのは、(養育の協力をするかもしれないけど)元々の養育に関する考え方が合わないため、ストレスが高くなっていることが考えられます。
ステップファミリーにおける「(子育てに関っていない)実親の存在が心にひっかかる」などは、未経験者からすれば判り難い感覚かもしれません。
「家族・ 親族と養育に関する考え方が合わない」等は2世帯同居の家族などであれば、同じように困難として表れるようにも思えます。
同居親の有無は今回、調査項目 に入っていないため、未経験者との違いはよく判りません。これは未経験者における嫁・姑問題等でも同じようにストレスとして抽出されるかもしれません。しかしステップファミリーの場合、「実親」と「以前の養育者」が存在する場合があるので、世代間の問題だけとは限らず、そのストレスを単純に「同じもの」として考えるべきではないでしょう。
※1 中途養育未経験者が「以前の養育者」項目にチェックが入ることは、本来、不自然です。これは問8の「実子でない子を中途から育てる場合、困難はどのようなことから起きると思いますか。」に懸かっているのかもしれません。統制群としてのデータの正確性から考えれば排除するべきかもしれませんが、標本数も多くないため、あえて掲載しました。いずれにしても、殆どの項目において「未経験者」は少なく、「ステップファミリー」が多くなる傾向、各項目群の絶対数の大小は理解出来ると思います。
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