<親族里親>東京都認定たった1人 施設入所児童のみ (毎日新聞) –

毎日新聞の該当ページが無くなっているため、awaodori/tumblrさんのページにリンクします。 

もう一つ、沖縄子ども支援ネットワークさんのページです。

念のために以下に内容をコピーさせていただきました。

記事をテキストに残してくださったawaodoriさん、沖縄子ども支援ネットワークさんありがとうございますm(__)m

また、記事を書いてくださった鈴木敦子さんにおきましては、本当に、誰も触れなかった問題にメスを入れてくださったこと。

私がお礼をいうのもおかしいかもしれませんが、心より感謝しておりますm(__)m

Yahoo!ニュース

<親族里親>東京都認定たった1人 施設入所児童のみ

毎日新聞 11月8日(火)15時0分配信

身寄りのない子を3親等以内の親族が育てる「親族里親」の制度で、引き取り時に子供が児童養護施設に入っていることを条件とする厳しい基準を47都道府 県で唯一、東京都が持っていることがわかった。都内で親族里親に託された子はたった1人で、福岡県や大阪府が40~50人前後認めているのに比べかなり少 ない。専門家は「子供の福祉を考えていない」と批判している。【鈴木敦子】

【執着、反抗…里子特有の難しさ】悩む里親、支援が急務

東京都の女性(44)は09年、病死した妹=熊本市在住=の一人娘であるめい(7)を引き取り、都に親族里親を申請したが「施設で暮らす子しか適用できない」と断られた。

妹は離婚し、元夫は養育放棄。生前「頼れるのはお姉ちゃんだけ」と言われていた。妹の死後、熊本市から「5歳児が一人で暮らすことになる。すぐ住所を移してほしい」とも言われ、住民票を移し共に暮らし始めた。

親族里親には月5万円の養育費や医療費が支給されるが、女性には一切ない。「形式的でも施設に入れればよかったのか、と児童相談所で聞いたが返事はなかった。何のための制度なのか」。節約のため100円ショップに行くようになった。

都の基準は「児童養護施設などに入所し、入所前に当該児童と生計を一にしていない親族に引き取られること」とうたう。いったん共に暮らし養った後は、一切認められない。

都育成支援課は「一度でも親族が子供を保護した時点で、公費を支給する親族里親制度は必要ないと考える」と説明する。厚生労働省家庭福祉課は「都の基準は初めて知った」としつつ、「子供の福祉に反していれば見直すべきだが、基本的には自治体が判断することだ」と話す。

親族里親の運用基準は自治体ごとに微妙に異なるが、「子供にとって安定した関係が築けるので真っ先に親族をあたる」(京都府)と親族を頼る自治体は少なくない。

日本女子大の林浩康教授(社会福祉学)は「都の基準は、子供の幸せより管理する側に都合のよい仕組み。子育ては経済的にも体力的にも負担が重く、社会的支援が必要」と指摘。都の消極姿勢については「養育費目当ての偽装離婚など悪用への懸念があるのでは」と分析している。

【ことば】親族里親

児童福祉法で規定し、養育里親や専門里親などがある。親族里親は親の死亡や行方不明で子を養育できない時に、3親等以内の親族が育てる制度。自治体が認定 し養育費を出す。東日本大震災で多くの遺児が生まれた後、厚生労働省はおじやおばは親族里親ではなく養育里親と同じ扱いとし、月7万2000円の里親手当 を支給できるよう省令を改正した。

 

 

認定要件厳しい親族里親制度=鈴木敦子

2011/11/27 20:39 に Naofumi Nakato が投稿

毎日新聞 記者の目 2011年11月24日 0時05分

 ◇子の幸せを第一に 積極活用を

  東日本大震災を機に、広く知られるようになった「親族里親」制度。親が死亡、行方不明などになった子どもを、祖父母らに委託する制度で、公費の支援があ る。しかし親族里親の認定数は自治体によって大きなばらつきがあり、特に東京都は、施設から子どもを引き取った場合にしか原則として認定せず、門戸を狭め ている。親族が子どもを受け入れやすく、子どもものびのびと暮らせるように、制度を積極的に活用してほしい。

 親族里親は3親等以内の親族が対象。一般の養育里親より支援は少ないが、それでも子どもが18歳になるまで月5万円程度の養育費が支給され、教育費、医療費などが公費で賄われる。運用は自治体の裁量に任される部分も多い。

 ◇東京は1件だけ

 厚生労働省のまとめ(09年度末現在)では、親族里親に委託された里子は福岡県51人、大阪府42人に対し、東京を含む6都県が1人、高知県はゼロと大きな差がある。

  “消極派”の東京都は内規で「児童養護施設などに入所し、当該児童が生計を一にしない親族に引き取られること」を要件と定め、一緒に暮らし始めた後では認 定しない。「親族が子どもを保護した時点で、親族里親の制度は必要なくなる」と都は説明するが、他の道府県に都のような基準はない。

 都内 でめい(7)を育てる女性(44)は、09年に妹を亡くした。妹が住んでいた熊本市から「早急に5歳児(めい)の住所を移してほしい」と求められ、自分た ち夫婦のところに住民票を移した。その後、都から、内規を理由に親族里親を断られた。「めいは妹の死に誰よりショックを受けたはず。施設に預けるなど、 いっときも考えなかった」と話す。

 遺児をとっさに引き取るのは自然なことで、都の運用は実態にそぐわない。

 ◇引き取って当然

  都などの姿勢の背景には、公的な援助がなくても「親族なら引き取って当然」という発想がある。確かに、親族里親の対象者は、民法877条が定める扶養義務 がある人だ。だが、いくら親族でも長期の養育は経済的負担が大きい。高齢なら、数年後に自分が介護の必要な状態になるかもしれない。子どもが肩身の狭い思 いをしたり、預かった側も葛藤を抱えかねない。

 娘をがんで亡くし、当時小6の孫(20)を引き取って親族里親となった千葉県の女性 (69)は「教育費や養育費が支給されて本当に助かった。孫にも進路などで気を使わせずに済んだ」と振り返る。女性が親族里親の制度を知ったのは、孫が中 3の時。それまでは「お金の心配だけはさせたくない」と、へそくりも使ってやりくりしていた。民法上の扶養義務と公的な支援を、対立的に考える必要はな い。

 親族里親に詳しい日本女子大の林浩康教授(社会福祉学)は「全く知らない施設や家庭に行くより、なじみのある親族に引き取られる方 が、子どもの負担は小さくて済む」と指摘する。実際、福岡県や三重県、京都府などは「子どもにとってよりよい環境を」と、積極的に制度を活用している。栃 木県も「子どもが親族宅を希望すれば認定は当然」と話す。先の東京の女性のケースについて福岡県などは「詳しい事情は分からないが、本県なら認定するだろ う」と話す。

 取材を通し、国の姿勢にも問題があると感じた。地域間格差を専門家や里親関係者が問題視してきたが、厚労省は原因調査や対策に踏み込んでこなかった。

 もちろん無制限の認定は許されない。複数の県は「裕福な親族にまで税金を出す必要はあるだろうか」と話す。現行の定額支給を、里親の経済力に応じ段階的金額設定に改めるのも一案ではないか。

 ◇福祉の網かぶせ

  認定の意義は、経済援助だけではない。公的な里親になれば、児童福祉司らが定期的に家庭訪問をする。和歌山県では、一般の養育里親と同様に研修も受けられ る。阪神大震災で被災児童を支援した家庭養護促進協会神戸事務所の米沢普子さんは「当初は『助けたい』という気持ちが強いが、日常生活に戻ると、実の親子 でない違和感や遠慮から、双方にストレスが生じる。手当だけでなく、福祉の網をかぶせることで子どもを見守り続けられる」と語る。

 東日本 大震災では240人もの子どもが、両親がいない遺児になった(10月末現在)。震災を受け、9月には厚労省令が改正され、おじ・おばは親族里親でなく、支 援が手厚い養育里親とされた。今ほど、里親の重要性が再認識されている時はない。親族任せ、個人任せにせず、社会的に養育するのが親族里親制度の趣旨だ。 子どもの幸せを第一に考え、社会全体で守るという、原点を見失わないでほしい。(生活報道部)

 

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