中途で養育者が交代する困難について

はじめに


わが国の社会保障制度は、専業主婦世帯が一般的であることを想定して構築されてきた部分がありました。

しかし現代においては設計の基礎となる家族形態が既に一般的でなくなっています。

その中での歪みは、子育てや介護、地域活動に従事することへの困難として、既に社会問題となっていて、国家レベルで様々な対策が検討されていますが、多くは充分とはいえないように思います。

この論文は、実親による養育が叶わない子どもに対する「中途養育」に関する研究です。

なんらかの理由で子育てが出来ない親がいれば、その子の養育は、親族による養育から社会的養護まで様々な「中途からの養育」形態のどれかに置かれる ことになります。異なる養育形態が子どもの発達に格差を生むべきではありません。しかし止むを得ない現状から養育者が交代するとすれば、支援は遅れがちに ならざるを得ないでしょう。

「中途養育」という枠組みにおける研究は現状、殆どされていません。多くの中途養育者は「不適切な養育」を受けてきた可能性のある子どもを、実親に代わって中途から養育しています。

(おそらく自覚のないままに)中途養育者は虐待件数削減に貢献をしている反面、「虐待事例」として社会的文脈の中で「期待されがち」(内田 2000)でもあるのです。

事例が<かたられている>・<つくられている>ということの背景には、書き手の意図通りに読み手が読み進めるよう書き手が期待しているということだけでなく、読み手もまたその期待にそった読み方を採用しているという事実があります。(佐竹・上野・樫田 2007)。中途養育の難しさは、実際の子ども特有の難しさ意外にも、それぞれの養育者のポジション(社会的、家庭的な立ち位置)に大きく作用されると考えられます。

中途養育を論じる上で、中途養育を経験していない多くの方々が持つ、子育て規範として構造化された概念「(実母として)あたりまえ」「?するべき」といわれるような既定の概念モジュールを一つ一つ脱構築していく必要性もあります。ゴフマン(goffman 1963)によって定義された「普通ではない」それも「望ましくない」種類の属性をあらわす「スティグマ(社 会的烙印)」を、多くの中途養育者が背負っていることは一般的に認知されていません。その背景には、それぞれの養育形態に属する人たちがそれぞれの社会的 立ち位置、社会的義務感、所属する家族の守秘義務等から、自らの困難を公にしない、あるいは公にすること自体に困難を伴う現実を考慮するべきです。

この研究では先ず、中途養育の形態によって異なる「困難」を明らかにすることによって、必用な支援の方向性を探ることを目的としている。それによ り、形態毎の不平等を軽減し、中途養育を受ける全ての子どもが健全な発達環境を得られるきっかけを作りたいと考えています。 …

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