社会的養護に関わる視点から

01.過去の文献から中途養育を考える

乳児院や児童養護施設、小規模グループケア、地域小規模児童養護施設等で働く職業的養育者も、実親と離れて暮らす子どもに関るという意味において、「中途養育者」であると著者は考えています。

広い意味では一時保育の職員、子育て支援制度に関るnpo職員、子育てサポート事業等に登録される無償・有償ボランティアの方々を含んでも差し支えないかもしれません。

施設職員の多くは専門の教育を受けています。そういう意味において高い「中途養育スキル」を持つのがこの「職業的養育群」ではないでしょうか。

しかし中には自身の子育て経験がなかったり、共に暮らす関りを経験していないために、子育ての全貌を把握しきれない方もいらっしゃるかもしれません。また施設という「特殊な住まい」に暮らす上で、子ども達との特別な社会的関係性による養育困難も生じているかもしれません。

内海(2008)は「児童養護施設における子育て-そだちの科学 子育て論のこれから」の中で、「特殊性の中で構造的に生じる困難」を挙げています。

施設の場のサイズ、生活の構成員の数、構成員同士の関係性や成り立ち、サイクルなど、構造的に生じる困難、また多人数を相手にした子育てに「途中参加」することに伴う、一人一人育ってきた環境や性格が違う子どもと新たに出会い、そのたびに新たなかかわりをしていかなければいけない大変さ」(原田2007)を挙げています。

とりわけ虐待を受けた子どもとの関りの中で、愛着関係の作りにくさ、衝動性、暴力性の高さ、キレやすさ、虚言・ごまかし、盗み、挑発的行動、支配的対人関係等は勿論であるとした後、特有の根深い困難として、「子ども達(また時に大人たちも)不満足な「今」の理由を過去他者に求め、責める傾向」を指摘しています。

つまり児童養護施設における養育の困難は「子ども自身の内面的問題」、強いては「社会的関係性」に基く人格形成に起因する諸問題の一つといってもいいでしょう。

一時保護を経由している子どもは多かれ少なかれ親子分離というトラウマを経験しています。その意味で子どもに対するケアの根本は里親と変わらず、困難は多いと思われます。

しかし、中途養育者全体を支援するための「リソース」として考えれば、「職業的養育者」は、実質的に最も養育に関する学びの場を経験していると思われ、「中途養育スキルのリソース」として最も期待される存在と考えても良いのではないでしょうか。

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