ステップファミリー

02.Aさんという架空の事例を通じて

時間が経ち、Aさんの義弟は、子連れの相手と再婚をしました。
子連れ再婚家庭のことを「ステップファミリー」といいます。

Q&Aステップファミリーの基礎知識 ― 子連れ再婚家族と支援者のために 」の中で野沢(2006)は、アメリカにおけるヴィッシャーらを中心としたステップファミリー支援組織である全米ステップファミリー協会(1977)の三十年に及ぶ活動の歴史に対し、「日本語にはそのような形態の家族を一括して指し示す言葉が存在しなかった」ことが、社会的に極めて大きな、マイナスの意味を持ったといっています。

「継親子関係を含む言葉は存在していたことに間違いはないのだが、社会的に見えにくい存在でありつづけ、特別な注意を払われてこなかった」ために、日本社会はしっかりと「ステップファミリー」を捉えることをしなかったと捉えています。

日本においてステップファミリーが次第に見える存在になってきた背景には、「離婚経験者の再婚によって形成されるステップファミリーの増加」がありました。現代において新たに結婚する男女の四組に一組が再婚カップルとなっている現状(野沢, 2011)等に基づけば、日本でもステップファミリーの数が相当に増加していることは推定できます。しかし、わが国では当事者においてもステップファミリーとしての自覚はまだまだ少ない現状もあります。

2011年にはSAJ(ステップファミリーアソシエーションオブジャパン)設立10周年を記念し、日米ステップファミリー会議が開催されましたが、その中でギャノンは「日本のステップファミリーに関る変化はアメリカより20年くらい遅れて進行している」といっていました。その理由として「20年前には、アメリカでもほとんどの離婚が単独監護権(日本で言えば単独親権)」であったことを挙げています。

わが国は未だに単独親権の国です。

家族における意識もわが国特有のものがあるようです。野沢は日本のステップファミリーについて「スクラップ&ビルド型」家族モデル、すまわち、すでにあったものを壊して作り直すモデルであり、アメリカにおける「連鎖・拡張するネットワーク型」家族モデルと対比しています。

コールマンによれば「日本のステップファミリーにおいては、祖父母が演じる役割がアメリカの場合よりはるかに大きい」といいます。これはわが国における世代間の連携がアメリカと異なっているためであろうと考えられます。

家族のイメージ 」亀口(2003)によれば、「日本ではアメリカ以上に各世代の人々の間の体験内容に大きな差がある」といいます。「家制度や血縁による束縛や絆がゆるくなっている現代の家族にあっては、この差異は世代間の分裂や対立に容易に繋がる危険性を抱えている」ともいっています。

それを避けるために通常家庭では嫁にせよ婿にせよ、新しい家族構成員が世代間を繋ぐ弾力のある役割として、期待されることになるでしょう。あるいは世代間を「繋がない」という選択肢もあるでしょう。

日本のステップファミリーでも(新しい家族構成員である)継親が役割アイデンティティ(菊池 2005)を変容させることを期待されると考えられますが、継親が役割アイデンティティを変容させることを拒否した場合には、どのようなことが考えられるでしょうか。

Aさんの義弟と子連れで再婚した女性は、子どもの養育が出来ませんでした。

理由はともあれ、その子(花子さん:仮名、当時3ヶ月)は生まれてから殆ど乳児院に預けられていたそうです。

義弟と結婚後も、子どもの養育が出来なかったため、花子さんの養育は主に義母が見るようになっていきました。Aさんの妻も義母のサポートとして、花子さんの養育を補助しました。つまり、Aさんと花子さんは一世帯内に同居することになっていった訳です。(4、0)

ジェノグラム1

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