01.過去の文献から中途養育を考える

親の代わりに孫を養育する場合


古口(2007)の「親の代わりに孫を養育する祖母の家族再構成」という論文が、著者が見つけた日本における唯一の「親族による中途養育の研究」でした。

古口は、従来の祖父母の「孫育て」研究とは異なる「祖母の子ども世代が従来の生活パターンを維持できない状態」の後に「孫の養育を開始することになった祖母」の「家族適応」の過程を調査しています。

古口によれば、アメリカと違い孫を養育するサポートが日本では見つからない(hayship&patrick,2003)ため、経済的問題、健康問題あるいは親子関係に大きな問題があると孫の養育を引き受けない可能性が高いと想定しています。

家族適応の影響要因としては、

  • 自身と孫の「年齢」
  • 経済的資源(就業の有無)

そして規範的資源として、

  • 直系ライン(父系祖母と男の子)にはみられない(女の子)の孫に関する「血の葛藤」の問題を取り上げています。

「息子の嫁のイメージが孫娘のイメージと重なりやすい」などの要因を示唆するものの、親族において自身の意思というよりは「家族の義務」から養育に 関るケースが多いことが考えられますし、前向きとはいえない関わりから「血の拘り」のような要因が少なからず抽出されるのかもしれません。

古口は祖母が親役割を代替する際に、「精神的資源として子育てが十分でなかったことが孫の養育を正当化し、家族の全一性が認められ、『祖母自身の子 育てが十分でなかったことが、ストレスになっている』というより定位家族に足りなかったものさえ補うような養育の起動力となっていた」としています。ま た、「孫が男の子であるほうが義務感・使命感に矛盾がない」という、「家族の全一性・存続性」を重視する、戦前の日本的家族の特徴が、限定的であるがみら れていたといいます。

これらのジレンマは親族に特有のものであり、「里親等」を含む「職業的養育者」には存在しないものと考えられるのではないでしょうか。

また、国からの養育に関するサポートが見つからないため、親族が子どもを手放さざるを得ないとしたら、手放さなくても済むようなサポートを作っていかなくてはいけないのかもしれません。

親族による養育は、おそらく日本において決して少なくはないと思われます。(著者もこのカテゴリに入ります)

日本の親族は不適切な養育者(家族)から、虐待を未然に防いできたのかもしれません。しかし、どちらかといえば社会からは「不適切な家族」「非定型な家族」としてのレッテルを貼られがちです。その劣等感から、困難の開示をためらう傾向があるようにも思えます。それは必要な支援を自ら届かなくしている可能性もあるでしょう。

※古口真澄さんの論文はこちらにもありました。孫の養育責任を担う祖母の現状(2010)祖父母の養育に関する研究は希少であり、大変貴重だと思います。

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